掃出し窓付近のフローリングは紫外線や結露などで劣化し易い傾向があります。
この床は、表面がガサガサになっています。塗膜が劣化して剥がれ、表面の木部にはヒビ割れが進行しています。
黒く変色した部分もあり、放置すれば広がっていきます。
7ー1
傷んだ木部(化粧単板)を直します。
ヒビ割れた床の表面は強度も落ちていますので補強してから、樹脂を充填し平らに整えます。
塗装したときに、写真の様な光の反射がみられるように平らを作っていきます。
7ー2
フローリングを平らに整えたら、
変色した部分を直します。
色が抜けた所は、元の色を着色し、黒くなった所も本来の色を再現していきます。
失われた木目も描き込んで再現します。
7ー3
部屋の中心から見たところです。
掃き出し窓付近の床の経年劣化、傷みが遠目でも目立ちます。
向かって右側のフローリングの変色が進んでいます。
カーペットや家具などが設置されていると、ツートンカラーのように色の差がはっきり判る位に日焼け跡が目立つことがあります。
7ー4
床の劣化 近景写真
劣化した床を近くで確認すると、色が抜けて白くなっているだけでなく、床表面の化粧単板までササクレ・剥離が起きている事が判ります。
経年劣化で塗膜がほとんど失われており、木部に直接 水分が染み込む状態です。
結露などがあると、フローリングが水を吸収してカビの発生による黒染みなどの症状が現れることがあります。
7ー5
遠目ではっきり判るほど色の差がありましたが、表面の傷みを処置、塗装による修復作業で綺麗になりました。
7ー6
仕上げにワックスコーテイングして完成です。
ガサガサになっていた床がピカピカの艶を取り戻しました。
7ー7
前の紹介事例の状態が長く続くと
フロアの劣化が進み表面に貼られている"化粧単板"が剥がれて浮いてきます。
初期には、木目の線に沿ってヒビ割れが発生します。
中期になるとヒビ割れ部から板が反り上がり
後期には、板の接着剤が効かなくなり、ベロッとはがれるようになります。
この段階でフローリングの張り替えを検討される方もみえます。
しかし、工期・家具の移動・張り替え費用などの負担から躊躇されるケースも多く、放置してさらに傷みが進行する事もあります。
この問題の解決策として、修復の技があります。
7ー1
ひび割れ部が歩行時や雑巾掛けの時に引っかかるようになります。
引っかけた時に化粧単板がハガレることもあります。
ヒビ割れのせいで日々の生活にストレスが掛かるのですが、ここまで傷むと直すのは無理では?と思われる方もおみえになります。
しかし、このような状態でも綺麗に直すことが可能です。
以下に手順をご紹介致します。
7ー2
ハガレと浮きの様子
この時期のフロアに対する修復
表面がささくれ立って、靴下やお掃除モップに引っかかっているうちにベリッと捲れる 状態です。
残っている板も"上に乗っかっているだけ"だったりします。
〇まず、浮いている単板の接着を行ないます。
7ー3
圧着
サッシの際の単板を圧着したところです。
しっかりと圧着すると、反って浮き上がった単板が基材にピッタリとくっつき表面が平らになります。
7ー4
欠損部埋め平ら成形
単板が欠損している部分は、パテ埋めして平らに成形します。
後は塗装工程で美観を整えます。
7ー5
完成
着色塗装で周囲の床色に合わせて見映えを良くします。
気分も晴れやかになりますのでお勧めの修復プランです
7ー6
完成
反対側から見た様子
色あせて、板もハガレてガサガサになってしまった床も修復の技でこのように甦りました。
7ー7
フローリング表層のハガレは、長年にわたる紫外線や結露などの湿気により、塗装表面が劣化することから起きます。
塗装面が劣化すると、床材の表に貼られた化粧単板といわれる 薄い板 が直接 湿気を吸収したり紫外線を浴びたりするようになり、劣化が加速します。カビの発生や汚れの吸着で黒ずみ易くなります。
放置すると、化粧板がヒビ割れてささくれ立ってきます。塗膜はハガレ落ちていきます。
この頃には、雑巾がけや歩行時、布や靴下などがささくれに引っかかり ほつれるようになります。
多くの方が修復について計画される時期でもあります。
賃貸物件の場合、入居者の退去までメンテナンスの機会が無いことも多く、退去のタイミングで修復の依頼が入ります。
入居期間が長いほど劣化も激しくなる傾向にあります。
完成
このケースの床の修復手順は、劣化した表面全体を補強することから始めます。
①塗料・接着剤・樹脂などを用いてガサガサになっている部分を固めていきます。
②下地の補強が出来たら平滑面を作ります。床の目地などもこの時に再現します。
③着色工程に入ります。周囲の色と木目柄に合わせて塗装します。
➃ワックス仕上げされている床が多いので、ワックスを塗布して仕上です。
仕上がりは完成写真のようになりました。
物件の資産価値を維持するためにも床のお手入れ、修復は大変重要です。
段ボールなどに入れて置いた野菜類を、ついうっかり忘れて腐らせてしまった。こんな経験はありませんか?
キッチンは、主に水が関係する床の染みや傷みが発生しやすい場所でもあります。写真の事例は何が原因でしょうか。
水道の水がこぼれた位でここまで損傷することはまずありません。長期間、水分の多い状態を放置する事でこのような状態に発展します。
気付いたら床に水分が染みこんでいて床板が傷んでしまっていた。というケースです。傷んだ床の上には箱が置いてあったのです。
シミと同時に表面の化粧単板もダメージを受けており剥離していました。白く見える部分が剥離しています。この部分はパテ・樹脂を埋めて平らに成形します。その後、着色と木目を書き込んでいきます。茶色のシミ部分は周囲の色に合わせて着色していきます。
完成
着色方法について
このフローリングのようなシミ修復のケースは、
元の床色よりも濃いシミを消す作業になります。
基本的に色を薄くする着色は出来ないため
一旦、濃いシミのピースを白っぽく塗装してから色合わせ塗装、木目描きの工程を経て完成させます。
天然木クリヤー塗装仕上げの場合
天然木の発色に対し、塗料による色目の再現となりますので、
場合によっては材質の違いによる色目・質感の差異が目立つことがございます。
できうる限りこの差異を軽減するように手を尽くして作業致します。
水濡れのため、床に黒カビ・シミが発生
集合住宅などでは、上階からの漏水によってカビが発生する事があります。
一旦、水を吸い込んだ木材は簡単に乾燥しません。その為、湿気過多の状態がつづいているうちにカビが発生する事があります。
床を剥がして張り替え工事をする場合、部屋全体を張り替えることになりそうです。部分張り替えの場合、同じ床を手配できても、色が合わないという事が有ります。
「張り替えた床の色が違うので、色を合わせて欲しい」とご依頼が入る事があります。
完成
修復は床の水分が乾燥した後に行ないます
修復するとこのようになります。
床がしっかり乾燥してカビの進行が止まったタイミングが修復に適した時期です。
湿った部材には塗装などの手を加えることが出来ないことと、水分は周囲に浸透していきますので、修復時に無かったカビ染みが修復部の外に広がってしまう事があるためです。
ペットの水飲み場のシミ
器から漏れた水が防水のシートの裏側に回り込んでおり、長期間フローリングが濡れた状態になっていたそうです。床の色が抜け、黒いシミが発生しています。
水漏れは床面が完全乾燥した状態になってからリペア可能になります。
予算内での修復をご希望で、バランスを取った修繕を計画しました。
完成
予算重視型の修繕例
単純に色が抜けているだけの状態と比べると、黒い染みの場合は色合わせの塗装工程が複雑になるため、時間がかかります。
下欄の工程のようにシミ消し塗装と木目描き工程などが増えます。
ご予算に応じて工程を組む事も出来ますので、ご相談下さい。
表面研磨の様子
表面の荒れを滑らかにするため・塗装前の下処理の為に研磨します
黒シミの様子
表面補強のためクリヤー塗装などを施します
シミ消し塗装
黒色のシミが広がっている箇所を明るい色で塗装します
木目描き作業
消えた木目を再現するために描き込んでいきます。
観葉植物の水が防水シートの裏側に回り込んでシミが発生したケースです。
この床は無垢板フローリングです。無垢板の風合いが素敵ですが、塗装による修繕は難度が高くなります。
シミの周囲は濃い茶色の輪染みになっており、中央は黒っぽく変色しています。
表面の塗膜は、濡れた事で白化しています。
塗装によるシミ消し
茶色の輪染みを消していきます。
黒い部分も床の茶色に合わせて色を変えていきます。
白化した塗膜を補強しながら色を合わせていきます。
これらの工程は一度の塗りでは完成しません。何色か重ね塗りして色を近づけていきます。
完成
ご予算を抑えてお直しいたしました。
無垢板フローリング染み
こちらの写真は、お客様が提供してくださいました。
上欄の修復写真と同じ床です。
当店の写真よりも判りやすく撮影されています。
カビシミの拡大写真
水濡れの場合、水分が残っていると補修材が密着しないため、乾燥してからの作業となります。
この写真から1週間ほど後に修復作業に入っておりますが、その時の状態は、乾燥が進み上欄の写真のようになっていました。
完成
修復後の様子です。
写真のご提供ありがとうございました。
数ある補修会社の中から当店にご依頼いただきましてありがとうございました。
壁際の床が湿気で傷んでしまったとのこと。 結露もひどいとのことでした。
フローリングの継ぎ目部分が特に傷んでおり、表面がめくれてハガレていました。
長い間 湿気にさらされると、カビ発生の原因になります。
この床も、黒いカビの染みが出来ています。
フローリング表面の化粧単板がハガレている箇所は、パテなどを充填して平らにします。
見た目の仕上げについては、
周囲の色と木目柄に合わせて塗装するので、部分的な修繕が可能です。
張り替えなどの工事をせずに床を蘇らせることが出来ます。
もろい樹脂で埋めた跡
作業効率を重視しすぎると、材質的に不適当な材料で補修をしてしまうケースがあります。
この床に使われていた樹脂は、簡単に床の凹みを平らに出来るため、多用される傾向にありますが、凹みが直径5㍉程度を超え、範囲が広くなるほど樹脂が崩れやすくなります。
再補修中
樹脂にも幾つか種類がありますが、適さない素材は除去、クリーニングしてから別の樹脂で再補修します。
集合住宅の床は、騒音対策で戸建ての床よりも柔軟性がある傾向があります。もろい樹脂は床の動きに耐えられず、砕けてしまいます。
完成
修復後の様子です。この状態でも十分に目立たなくなっており、他の箇所も併せて直していきました。
キズの数が多いと作業が楽な材料を使いがちですが、後になって問題が発生すると結局、全てやり直しです。耐久性にも配慮した作業が求められます。
色合わせ不良の手直し
床の色に対して明るすぎる色です。
木目の描き込みが無いため補修跡が目立っている状態です。
着色部分の中心の補修材が取れています。
クリーニングすると、線状のキズを直してあった事が判りました。木目を断ち切るように走る線キズの補修は難易度が高いもののひとつに挙げられます。
再補修中
キズに対して補修着色の範囲が広すぎると却って目立つため、範囲は狭く、色は極力近い色で補色します。近い色なら範囲を広げても違和感は少なく仕上げられます。
写真では未だ目立ちますが、その場での見た目はほぼ判らない状態になっています。
完成
角度を変えて見た様子です。この後、ワックス掛けして仕上げました。
仕上のレベルは、時間当りに直す数にも影響を受けますが、パッと目で判る補修にならないように調整する必要があります。
補修不良の手直し
強度不足の充填材で埋めた補修部分が取れてしまっています。
わずかに残っている着色部分は、床の色に対してくすんでおり、補修直後の状態でも色の差が目立っていたと考えられます。
集合住宅の床は騒音対策で柔軟性に富んだ床材が採用されることが多くあります。戸建てのフローリングに比べて良くしなるため、もろい樹脂で埋めると床の動きに追従できず充填材が割れて写真の様に崩れてしまいます。
補修材の崩れ
残っている補修材は、ボロボロと細かく崩れてしまう状態でした。
補修箇所が多い場合、仕上りよりも数を多くこなす事を優先する場合があります。
しかし、数優先でも補修箇所が取れて無くなってしまっては意味がありません。
補修費用が無駄になり、物件の価値もキズのあった状態まで下がってしまいます。
再補修中
樹脂充填した状態です。
この樹脂は、崩れてしまった樹脂とは違う種類を使用しています。
この後で着色しますが、
このままでも前の補修直後の状態よりも目立たない状態の仕上がりだと思われます。
遠目で見た場合に目立っていなければ合格とする現場もあります。
数優先の場合は、この段階の見た目で仕上げることも可能です。
天然木の質感を活かした床材の場合、修復の難易度が高くなります。
焦げ色の濃い程、深くまで板が焦げているため焦げの除去も大変な作業になります。
アイロン焦げ リペア後
最終的には、塗装仕上げで修復する事になりました。
炭化している部分は床材としての強度を失っているため、削り取ります。
薄く茶色に変色した程度であれば、そのまま活かせる場合もあります。
こちらの床は一般に普及しているタイプのフローリングです。
床 焦げ リペア後
タバコやアイロンによる床の焦げに対応出来ます
部屋のクリーニング時、薬品をこぼし床が焦げたというケースもあります
いずれのケースでも対応可能でので、ご相談ください。
見た目以上に広い範囲を埋めることになります
一面を埋める「ベタ埋め」する事で平滑面を再現します。範囲が広くなると1日がかりの重労働になることもあります。
1㎡の範囲で1日作業が目安です。
完成
ベタ埋め完了
キャスター凹みのリペアは広範囲に及ぶことがめずらしくありません。
放置すると表板のハガレ・割れにつながる為、早めの修復をお勧めします。
丁寧に作業することで平滑面が甦ります。
重量物を移動するときに床上を引きずるように移動すると、線状の凹みが玄関からキッチンまで続くといったことがあります。
埋めるだけで目立たなくなる場合もあれば、着色しなければならない場合もあり、埋めるだけに比べて作業時間が倍になることもあります。
完成
この写真では、照明の反射光で修復部がよく判りませんが、引きキズの凹みが残っている場合は反射光が乱れます。
埋めるだけで目立たなくなるキズでしたので、奥にあった多数の引きキズや、玄関先まである引きキズと併せて綺麗になりました。
引き傷のある床はダーク系の色ですが、表面材は天然木の化粧板のため、繊維が切れたり深い傷の場合はリペア跡が目立ちやすく注意が必要です。着色すると陰が目立ち易いので出来るだけ透明な材料でなおします。
キズ部分の樹脂充填
引き傷は化粧単板の繊維にダメージを与えていました。慎重に処置をした後、凹み部分に充填材を入れます。
リペアで一般に使われる熱で溶かす樹脂は今回使用しません。透明度と堅さ、耐久性を出す必要があったからです。
平ら の成形
余分な樹脂は包丁で平らにします。
包丁は修復に欠かせない刃物です。大工さんの使うカンナ「鉋」の役割をして貰っています。
樹脂は完全硬化すると刃物で切削出来なくなるので頃合いを見計らって刃をあてます。
平滑面の確認
成形が終わったら平らになっているか確認します
斜めから透かして見ます。
光の反射光で確認します
完成
クリヤー塗装で仕上げています
床は天然木の化粧単板仕上げです。引き傷は深めの凹みでした。埋めた跡が目立ちやすいので、クリアな材料を使うことにしました。引き傷の周囲は少し盛り上がっているため凹ませます。
キズ部分の樹脂充填
充填作業に入ります。上欄でご紹介の引き傷と同じ材料を使っています。普及品のリペア充填材と比べ、透明性・強度・密着性に優れる大変良い修復法です。但し、施工の難易度はあがります。
完成
艶のある床でしたので、クリヤー塗装仕上げをしました。少し陰がありますが、下欄にその理由をご説明いたします。
同じキズを別角度で取った写真です。上の写真では無傷に見えた床のピースにもはっきりとした引き傷が付いていることが判ります。色は取れていないキズなのですが、線状の凹みが陰になって色が濃くみえています。クリアな材料で埋めてもこの陰は出来るため、完成後に線状の暗い陰が見えるのです。
キズ部分の樹脂充填Ⅱ
左のピースが最も目立つキズですが、真ん中と右のピースもよく判るキズです。充填作業に入る前に鋭角に凹んだ線キズの輪郭を潰しておきます。
天然木仕上の床は、可能な限り無着色で直すようにします。色の取れたキズの場合は慎重に塗料を選んで着色します。
完成
この角度では直した跡は殆ど判りません。
このような床とキズの組み合わせは、見る角度により痕跡が判らない時と、前の例のように見える時があります。
浅めのキズです。線状の陰ができています。
このような凹みは周辺の盛り上がりがよく判らないことがあります。
しかし、たいていの場合は盛り上がりが出来ていますので圧力を掛けて押し込んでから作業します。
完成
透明な充填材で埋めてクリヤー塗装仕上げしました。
引っかき傷が出来たときに傷口を水拭きすると、キズが茶色く目立つ場合があります。水が乾くと元に戻りますが、この様な場合は透明塗料を塗っても傷跡が茶色くなってしまうので(塗料の場合は、乾燥しても茶色のままです)プロに任せましょう。実はプロでも引っかき傷の痕跡を完全になくすのは至難の業です。
水拭きして引っかき傷が消える場合は、塗膜厚の部分でキズが止まっていますので(傷が浅い)クリヤー塗装できれいになる場合があります。色つきの塗料を塗ると濃く目立ち、傷口に染みこんだ塗料が取れなくなってしまうことが多いので注意しましょう。
ダイニングなどに良く見られるキズの状態です。
食卓椅子やテーブルの脚により、写真の様にキズが集中的に付いてしまう事があります。
このお部屋には床の広範囲に凹みがありました。
生活期間が長いほどキズの数も蓄積される傾向がありますので、気がついたときには部屋中に凹みが広がっていたという事も珍しく有りません。
この部分には細かな凹みが沢山ついています。
椅子や家具の床との接地部は、移動の時に床にキズを付けてしまうときがあります。
重い物の角でキズを付けてしまうこともあります。
重い家具を移動させるときは、まず床を掃除して家具の下に砂粒やゴミなどが入り込まないようにしましょう。バスタオルなどを下に敷いて移動するとキズの防止に役立ちます。
こちらのご紹介例では、お部屋全体に大小様々なキズが広がっている印象でした。
大きなキズは目立ちますが、小さなキズでも沢山集まっていると目立ってしまいます。
修復計画を立てる場合、ご予算・仕上がり品質の要求度をお伺いしながらプランの作成を行ないます。
右半分を作業しています。凸凹になっていた床面を平らに修復していきます。
実は、ご依頼の箇所はこの時点で全て埋めているのですが、ご覧の通りこのままでは綺麗な床にはほど遠い感じです。事前に予想される事態でしたのでご依頼者様と打ち合せをします。
この作業を部屋の全体にしていくと綺麗な床に蘇ります。
※キズが全体に広がっている場合、目立つキズを直すと、次に目立つキズが気になるようになります。そのため、綺麗になったなと感じられる床にするには、全体的に直す必要があることもしばしばです。
完成
当初の指摘箇所の倍以上の範囲を直す事になりました。結局、部屋全体を直す事になりましたが、
写真の様にピカッとした仕上がりになり
随分とお部屋の印象が良くなりました。
お客様とご予算・修復範囲などを話し合いの上、仕上がりを調整していきます。
お客様にご満足いただける修復が実現できました。
キッチンのフローリングは、包丁の落下などによるキズが発生することがあります。
この床は表面に化粧シート加工がしてあるタイプで、刃物が刺さったことにより、シートが切れてめくれあがっています。
この状態を放置すると、歩行時にストッキングが引っかかったりし、水がかかると基材が吸水膨張して傷みが広がることがあります。
キズ部分のクリーニング
反対側から撮影した写真です。
切れたシートキズの隙間に破片やホコリなどが入り込んでいると綺麗に直せないため、隙間の掃除をします。バリの処理をして剥がれたシートが綺麗に接着出来るようにします。
この後、基材に水分が染み込まないように樹脂を染み込ませて固めるのですが、その作業の前にもう一つすることがあります。
キズ部の圧着
落下キズは、通常、凹みと盛り上がりが同時に発生しています。接着剤を流し込んで圧着しただけでは、平らにならず盛り上がりが残ってしまいます。そのため、接着前にキズ部分を押し込んで凹ませておきます。
写真は凹ませたキズを平らにしている所ですが、押し込んだあとは樹脂の充填が出来るほどの凹みになっています。
キズ部分の樹脂充填
一般には樹脂を熱で溶かして充填する事が多いのですが、今回は耐久性を高めるため材料を変えています。
余分な樹脂は刃物で切削して平らにします。
平ら の成形
平らにしたところです。
切削したところが少し白っぽくなっています。
着色してクリア塗装で仕上げます。
シートフローリングとは、製品の表面に、木ではなく紙や樹脂などのシートを貼り付けた床材の事で、木目柄や大理石柄などが印刷されています。
こちらの床は白い木目柄が印刷されています。
キズ部の拡大
落下物により輪郭のはっきりした凹みが出来ています。
表面シートには亀裂があります。
周辺の盛り上がり部分の処置と併せてシートの亀裂を接着補強してから凹み埋めに取り掛かります。
パテ埋め
浅い凹みは樹脂を熱で溶かして充填する事が多いのですが、今回は耐久性を高めるため材料を変えています。
下地のパテは硬いものを使用しました。
樹脂充填完了
写真では判りにくいのですが、
このフローリングはシート表面の樹脂層に木の模様の凹凸があります。
表面は熱で溶かす樹脂で成形、埋めで平らにした後、導管の凹凸模様を付けます。表面の強化処理後、塗装工程に入ります。
着色木目描き込み中
少しずつ色と柄を合わせていきます。
完成 横から見たところ
角度を変えて見たところです。
修復の痕跡が判らない状態になったら完成です
完成
クリア保護塗装で仕上げます。
こちらのシートフローリングも白系です。表面にひっかきキズがついています。
椅子等を引きずった時、擦り傷や引っかき傷が付付きやすく、同じ動作が繰り返さる事でキズの数も増えていきます。
このフローリングの表面構造について
表面に貼られているシート層の構造は
白地に木目柄の印刷がされたシートの上に
透明な樹脂層がコーティングされた仕様でした。
一部拡大
角度を変えて見たところです。
白い床面に黒いキズがハッキリと目立っています。
修復作業の前にクリーニングします
透明な樹脂層だけにキズが留まっていれば、黒い汚れを取ればかなり綺麗になります。
手で触れてハッキリとキズの段差が判る状態の場合、
深めのキズと判断します。
深めのキズとは、印刷層がダメージを受けている可能性が高い状態のことを云います。
クリーニング研磨処理
(左側のピースを作業しています)
クリーニング後、キズ部分を研磨していきます。
深めのキズや印刷層に達したキズは、白い筋か黒っぽい筋として残ってしまいます。この場合は着色の必要があります。
(左側のピースを作業しています)
白い筋は印刷が削れてシート素地が露出したキズです。
黒っぽい部分はシート層が無くなりフロアの基材が露出したキズです。
虫歯の治療のようですが研磨後に
色の差が無くなるキズはごく浅い傷
白く残るキズは深い傷
黒いキズは更に深い傷
に分類され、それぞれ処置方法が異なります。
樹脂充填研磨
線キズ部分の凹みを樹脂を充填して平らにします。
写真は盛り付けた樹脂を削って平らにしているところです。
(左右のピース共作業しています)
平らになったら、キズの痕跡が目立つ部分を着色して周囲に馴染ませます。
完了
角度が変わっています(前の写真の左側に立って見るとこのように見えます)。
前掲の着色が完成するとこんな感じになります。
全体の色の調子を合わせたらクリア塗装で表面保護して仕上げます。
無垢板の質感が贅沢なフロアです。
暖かみも感じられて愛着の湧く床材のひとつです。
キズの付く原因としては、落下物によるものが多いようです。
木地が深くダメージを受けた場合、水分は大敵ですので水周りの床は早めの対処をお勧めいたします。
深さが浅めから深いものまで3タイプのキズがついています。
無垢の木材の修復方法は様々ありますが、今回はパテ埋めで対応します。
ご予算を優先して仕上がりとのバランスをとりました。見た目は重視しました。
埋めたばかりの写真ですが、見た目は、ほぼ判らない程度になっています。
見る位置を変えるとリペア部と木部の色の差が判るため(明るく見えたり暗く見えたり変化します)、様々な角度で確認して一番バランスの良い着色をします。
目視と写真では見え方が異なりますが、データとしては写真しかないため写真でのご紹介となります。
前工程よりも直した跡が判る仕上げになっておりますが、
立ち位置を変えて目視確認した時に最も色の変化が少ない着色を施してあります(立ち位置を変えた写真を撮り忘れてしまいました)。
最終的にはお客様の目視確認、検査合格を頂きまして完成となります。
天然木は着色リペアの難しい素材のひとつです。
埋木して自分で色を塗ってみたが、色が合わなかったので目立たなくして欲しいとの要望でした。
新築・改築などの現場ではこのような事が起こる場合が有ります。
仕上が天然木にクリヤー塗装してある部材は色合わせが非常に難しいとされています。
場所が 壁際などの場合は何とかなることがありますので、ご相談ください。
部屋の中央などの場合、通常のリペア手順では厳しいので、現地確認が必要になる場合があります。
完成間近
仕上がり写真を撮り忘れました。
天然木のクリヤー塗装仕上げの場合、目に見える色合いは塗料の色ではありません。自然の木の繊維細胞から反射してくる光を見ているため、複雑で繊細な風合いを再現するには同じ木材を使うのが最適です。
しかしながら、埋木などの痕跡は残ってしまうため、最終的にはリペア業者が呼ばれて手直しすることも多くあります。
この現場は、着色塗料の表現で収める事が出来ましたが、本格的に直す必要がある場合はその旨ご相談ください。
フロアタイルのキズ
落下物によりついた凹みキズ
丈夫なフロアもキズがついてしまう事があります
大理石調の柄
表面シートが破れ剥がれています
基材が露出しているため補強の必要があります
樹脂の充填
傷んだ部分の補強をしてから埋めて平らにします
白系の色を何色か調合して盛り付けます
完成
マーブル模様に合わせて修復しました
中央の白い線が折れ跡です。 フロアタイルが施工中に曲げ圧力などで折れてしまったようです。
写真では判り難いですが、折りグセがつき段差もついています。
簡単に取り替え部材が手配出来れば良いのですが、同じものが手配出来なかったり、
経年変化のある部材と新品の部材では見た目に差がある事も多く、一部の交換では済まない事もあります。
完成
事情により部材交換が難しい場合は、このようにリペア対応するケースもあります。
折れキズは熱で溶かしながら修復しました。木目模様の凹凸があるのでそれを潰した仕上にならないように注意します。
修復士は、傷んだ部分を修復して原状回復できますので、賃貸物件の原状回復にもお役に立てる存在です。
今回はすこし特殊な作業です
この状態からご依頼がありました
外したフロアタイルが傷んでしまったので、修復して貼り戻したいとのことでした
完成
取り替えできない部材は、リペアで美観の回復が出来る場合があります。この現場も傷んだフロアタイルを修復して貼り戻す事が出来ましたので、全面貼り替えすることを免れました。修繕費用も大幅に抑えられました。
フローリングに堅い物を落として付く凹みキズの代表例
凹みキズは埋めれば直るのか? いいえ。その前にやらなければならない事があります。この作業を怠るとどんなに綺麗に着色しても傷跡が目立つことになってしまいます。
窓際は特に傷みやすい部分です。ワックスの効果が切れると表面の化粧単板がヒビ割れやすくなります。早めにお手入れする事で傷みの進行を止めることが出来ます
ちょっとした欠けでも靴下が引っかかったり、ストレスの元に。時間とともに床の状態は木目からヒビが広がりガサついた感じになります。更に放置すれば化粧単板がめくれ上がってしまうこともあります。